SSブログ

♪ Claudio Arrau のバッハ ♪ 惜しい… [Classic Favo.]

claudioarrau bachpartitas.jpgパルティータ第1番変ロ長調

パルティータ第1番変ロ長調

  • アーティスト: アラウ(クラウディオ),バッハ
  • 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1993/04/25
  • メディア: CD

 

現在Philips 盤は廃盤のようなので…

 

アマちゃんリンクはマーキュリー盤でしかも中古市場のですがね。画像の方は手持ちのPhilips のを乗せましたが。

で、クラウディオ・アラウ(1903-91)のバッハですが…

ピアノでバッハって言うと、今ならまず挙がるのがGlenn Gould ですが、多分バッハを史上最初にピアノで録音したのは(小品チョコチョコを除くと)アラウの、しかもゴールドベルク変奏曲だったはずです。

バッハ:ゴールドベルク変奏曲

バッハ:ゴールドベルク変奏曲

  • アーティスト: アラウ(クラウディオ),バッハ
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2001/12/19
  • メディア: CD

 

 

 

コレは1942年1~3月、ちょうど契約したばかりのRCA で録られたものでして。当時はSP盤なので、短い曲が並ぶのはまあ途切れずに録ることが出来るメリットがあるとは言え、全体では大曲、逆に全8枚組ぐらいになっちゃうような、かなり高価な商品になりますが…それでも契約に当たってわざわざコレを取り上げたのは…

アラウは1941年にアメリカのリサイタルで成功を収めますが、その時もゴールドベルクを取り上げていたこともあるのでしょうが、それに加えて、もうその時点でピアノでのバッハ演奏の大家として定評を確立していたのでして。20歳前にもオールバッハで4夜のプログラムを組んでいたぐらい、そして圧巻は1935~36年にベルリンで行った全12回のバッハの鍵盤音楽作品の全曲暗譜(!)演奏会。ですから、そのスペシャリストの一面を取り上げないわけにはいかないでしょう、ということで当然の帰結。

ところが同じ1942年、高名なクラブサン奏者が亡命してきて、同じRCAにゴールドベルクを録音。それがあの歴史的名盤、ワンダ・ランドフスカのだったのでして。RCA としては、同時に この大曲のテイクを2つ同時に出すのはためらわれたようで、全財産パリに置いて亡命してきたランドフスカの方を支援することにして、アラウに発売の延期を要請、快諾を得た…ちょうどアラウ自身にもバッハをピアノで演ることに対する疑念が出てきたこともあったようですが。

で、そのままそれがほぼ40年お蔵入り。ひとつにはアラウがその後すぐにコロンビアと契約しちゃったので、RCA としてはいまさらリリースする意味がなくなったのもあったのでしたが… バッハはチェンバロで弾くべしというアラウの思いも大きくなったせいもあるのでしょうか。

1980年代に入ってすぐにはまだ「今度バッハを弾く時にはチェンバロということになるだろう」と語っていたアラウ、しかし80歳の誕生日にこのテイクを聴いて、バッハをピアノで演ることは可能と思いを新たに…83年にアラウのゴールドベルクが再発の運びとなるのでした。そう、もうグールド亡き後なんですがね。

多分私はコレをFM で聴いたのだと思いますが、かなりグールドに似た演奏(ノンレガート、対位旋律の際立たせ方、等…まあSP 録音なのでソノリティのせいもあるでしょうけど)で、まあバッハをまともにやればそうなるんだと思いますけど、さてでは逆にグールドはこの演奏を知っていたのか…ただ、思い出すべきはグールドの師匠、アルベルト・ゲレーロはアラウと同郷人(チリ)であったこと。ですから全く何の関連もない、とは考えにくいですが…まあ定かなことはもうわからないのでしょうけど。

それと、アラウの録音が日の目を見なかったことが、間接的にグールドの初録音の価値を高めた、という皮肉なお話もありますが。

 

で、思い直したアラウがその後バッハの録音を入れてった、というのなら話は単純ですが…その後夫人とご子息を相次いでなくし、2年ほど演奏から遠ざかっていたあと、むしょうにバッハが弾きたくなり、リサイタルを再開、そして本録音となるのですが…

パルティータ全6曲のうち1,2,3,5番を91年3~4月に録音、残りの、規模から言えば曲集中最大クラスの2曲を6月に録音予定でしたが…6月9日、腸手術後の合併症で逝去。

いや~、ホント惜しいです。アポロン的4番にデュオニソス的6番をアラウはどう捌いたのか、さらにはイギリス、フランス組曲…まあこのパルティータ4曲が残されただけでも僥倖、というものでしょうか。

演奏はノンレガートをことさら強調するものではなく、それなりにレガートですが、細部が非常に磨きこまれ、噛めば噛むほど味が出る…まさに集大成でしょうか。久しぶりに聴いてその価値を再認識した次第でした。


コメント(0)  トラックバック(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0